2022/05/01 12:26


その「所有権の放棄」と「違法性のあるサンプルの破棄承認」の書類に署名と捺印をして税関に提出したことでその件は穏便に済み、当方からアメリカ側のスタッフのひとりに厳重に注意をすることで終わりました。

その3ヶ月後...

別のアメリカ側のスタッフから、iQOSのプラットフォームで使用可能なCBDカートリッジがあるのでそのサンプルを日本へ送るから取扱いを検討して欲しいとの連絡がありました。前回のことがあったので、日本で規制されている成分の確認を再度行い、そのアメリカ人スタッフも理解したようだったので同製品の日本へのサンプル送付を了承し、今度は成分分析表の添付も併せて依頼しました。

しばらくすると、同サンプルをアメリカから送った旨、成分分析表をメールで私に送付した旨の連絡がありましたが、私は仕事の繁忙期にあったこと、事前にアメリカ側の担当者と違法成分について話し合っていたこともあり、特に成分分析表を精査することもなく、日々の業務に追われておりました。

業務も落ち着き、アメリカ側から送られてきたiQOS用のCBDカートリッジのサンプルの成分分析結果を見てみると、なんと、そこには「ΔTHC 0.2%」の文字が。。。慌てて、アメリカ側の担当者にクレームを入れると、彼は謝罪しながらも「アメリカ人の感覚では0.3%以下のΔTHCは含有していないも同然だ」と真顔で言うのです。ここで初めて日本人とアメリカ人の間にはΔTHCに関して埋めようのない意識、感覚の相違があることに気づきました。

すでにその違法性のあるサンプルは東京税関に到着してしまっていました。前回のこともあり、また今回は決して輸入が許可されないであろう成分分析表も添付していたことから、再び東京税関から「所有権の放棄」と「違法性のある輸入品の破棄承認」の書類提出に関する連絡があるものと思い込み、いつしかそんなことも忘れて日常生活を送っていました。そして、、、、、


そしてついに、「大麻草由来のカンナビノイドの輸入リスク①」に記載した逮捕当日を迎えてしまいます。


逮捕後、顧問弁護士からの話で20日間の留置場での拘束は覚悟してみたものの、いざ拘束されるとその生活は大変辛く、1日でも早く留置場から出たいという願望に支配されました。この逮捕劇にはアメリカ側も衝撃を受けたようで、違法サンプルを送ったアメリカ人担当者からは英文で、これはアメリカ側の認識不足が引き起こしてしまった事故で日本側は故意に違法製品を輸入した訳ではないという旨の釈明書が警察に提出されたり、私とアメリカ側との過去のメールのやり取りを警察が解析したりして、何とか逮捕から16日目に不起訴処分で留置場を出ることが出来たのでした。

16日間とはいえ、それはそれは地獄のような留置場生活でした。もう二度とあの空間には戻りたくありません。しかし、人工的なカンナビノイドと違い、大麻草由来のカンナビノイドにはそもそも微量のΔTHCが含まれているため、大麻草由来のブロードスペクトラムを売りにしている製品の輸入には常にリスクがつきまとうのも事実です。成分分析表上は「白」でも、実際に製品そのものからごく微量の違法成分が検出されてしまえば「黒」で即逮捕されてしまいます。人工カンナビノイドであればそのようなリスクは生じないのでしょうが、私たちはそのようなリスクと隣り合わせだとしても日本の市場には間違いのない製品、良い商品をお届けしたいと考えております。

【キャリゴー】